初めての製品デザイン開発に取り組む方と、それを支える皆さまのための


(9)モノづくりが失敗するのはなぜ?

モノづくりはほぼ失敗する?

 新商品開発の8割は失敗するとも言われています。その原因は、下図に示すようなことであろうと考えられます。

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 モノづくりには大きく三つの段階があると述べましたが、要するに各段階においてやるべきことをやらないから、あるいはやるべきでないことをするから失敗する、ということにつきるようです。下のようなことについて、心当たりはありませんか?

【戦略段階の誤り】

・お客さんが何に困っているか、何を欲しているか、何が不要かといったことに目を向けず、技術的にできること、やりたいことだけでモノを作り始めてしまう。
・モノのアイデアを十分に広げきらないまま知財出願や展示会出展等を急いで、その後の方針変更の可能性を事実上閉ざしてしてしまう。
・新商品開発において、お客さんが言ったことを鵜呑みにし、言われた通りのモノを“新商品”として作ってしまう。

【つくりこみ段階の誤り】

・コンセプトが不明確なままモグラ叩き的な改良を繰り返した結果、なぜこうなったかは説明できるが、お客さん目線での魅力や満足を説明できないモノになってしまう。
・ユーザーテストを全くしないまま、開発チームの考えだけで立派な試作機を作り込んでしまう。
・ユーザーテストの良い評価結果だけを取り上げ、悪い評価結果は見なかったことにして先を急ぐ。
・ユーザーテストで思いのほか評価結果が悪かったことに落胆し、開発をやめてしまう。

【事業化段階の誤り】

・そもそも事業化段階で必要となる打ち手や、そのための期間・予算などを全く意識しないまま開発を始めてしまう。
・モノの良さを伝える際、伝え方の戦略を練らないまま、作り手が信じるモノの良さだけを連呼するような伝え方をしてしまう。