初めての製品デザイン開発に取り組む方と、それを支える皆さまのための


(4)目指すべきはお客さんにとっての“良いモノ”

使い手から見て「良い」モノを目指そう

 モノが売れるためには、まずは使い手が喜ぶモノを考え、作ることが大切です。しかし、中小企業における商品開発では使い手の視点でなおざりにされがちで、「性能や中身が良ければ売れるだろう」といった開発者の思い込みに頼ってモノを作ってしまうことも多く、結果として使い手から求められるモノにならない、あるいは、開発途中でチームの求心力が保てなくなるといった結果におちいってしまいがちです。

 モノは誰かから欲しいと思われ、買ってもらわなければ意味がありません。そのためには、作り手から見て「良い」と感じられるだけではなく、使い手から見ても「良い」と感じてもらえるようなモノを作っていかなければならないことを理解しておきましょう。
 そして、作ったモノが売れて(あわよくばできるだけラクに)収益を上げ続け、その結果として企業が生き残っていくことが、企業にとってのモノづくりの真のゴールです。モノのデザインは、あくまでもそのための一手段です。

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使い手の視点・気持ちで考えよう

 自社オリジナル商品を開発した経験がないデザイン依頼者には、どんな使い手をターゲットとして、どんな喜びを与えられる、どんなモノを作るのかという「製品コンセプト」を考えることが、とりわけ難しいようです。 

 モノの開発を成功させるためには、まず今考えているモノのアイデアを使い手の視点・気持ちで見直すことを心がけましょう。今あなたが作りたいと考えているモノを、使い手はどこでどう使うでしょうか。そしてその際、どのような使いにくさや不満を感じるでしょうか。逆に、どんなことができたら、どこがどうなっていたらより喜んでくれるでしょうか。全てを使い手の視点で捉え直してみましょう。そして、使い手から「そうそう、こんなのが欲しかったんだよ!」と言われるようなモノのアイデアを、まずはしっかり考えましょう。

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 なお商品開発は、お客さんから言われた通りにモノをつくることとは全く違います。商品開発は、お客さんにモノを見せて初めて「こんなのが欲しかったんだよ!」と喜んでもらえるようなモノをつくっていく行為です。その意味では、誰かが言う通りに試作品を改善していくといった部分最適を繰り返してもなかなか“商品”には近づいていかないので、注意が必要です。